骨って矯正出来るの?
「矯正」という言葉が生む誤解
骨格の矯正というのを大々的に謳うお店で、大きな写真パネルに「こんなに背骨の歪みが取れた!」みたいな比較を大々的に掲示してるのを見る事がありますが、あれはさすがに大げさだと思います(笑)
ちょっと考えてみてください。押しただけで骨の位置がそんなに変わってしまったら大変です。
人間の体がそんな造りだったら、指圧やマッサージでも骨が変な位置に移動して戻らなくなる事故が多発するでしょうし、格闘技なんて出来ません。少し練習しただけでお互い体がデコボコになるでしょう。
治療で押したり引っ張ったりしても骨はほぼ元の位置まで戻ります。
当院でも骨盤調整は行いますが、骨の位置を半永久的に矯正するような施術だと誤解を生まないよう説明に努めております。
骨格矯正の施術自体がインチキという訳ではなく
では俗に言われる骨盤矯正・骨格矯正・骨盤調整などの施術に効果はないのか?と言われるとそうではありません。症状に適した手技を上手な施術者が行えば効果はあります。
ただし、治る理由は骨格の並びや歪みが劇的に変わるからではありません。
なぜ骨盤矯正・骨格矯正・骨盤調整が効くのか
まず骨盤矯正や骨盤調整と言われる施術で骨盤を操作すると、硬くなっている部分がストレッチされ可動域が広がります。
狭くなっていた可動域を補う為に患部に負担がかかり痛みが出ていたのであれば、可動域を広げることで患部にかかっていた負担が正常に分散され痛みが取れます。
歪みには鍼も効きます
歪みの治療は徒手による矯正だけではなく鍼でも出来ます。
筋肉は硬くなると短くなります。そして付着している骨を引っ張ります。
鍼やマッサージはその短くなった筋肉を緩め、引っ張られている骨を正常位置に近付けることが出来るからです。
先日NHKで放送された鍼治療の特集でも、鍼で土田晃之さんの背骨の歪みを改善する模様が流れていて意外に感じた方も多いかと思いますが(歪みを取るといえば整体や骨盤調整のイメージがあるでしょうから)歪みが取れる仕組みを知っていれば不思議な事ではありません。
引っ張って緩めるか、押して緩めるか、鍼を刺して緩めるか、やり方はそれぞれ違いますが、どの治療でも結果として体の歪みを取ることに繋がります。
それでも「骨格」を矯正すると言う表現を使う理由とは?
私の推測ではありますが、整体やストレッチという言葉を使うよりも「骨格」を「矯正する」と言った方が効果が永久に続くイメージがつくからかなと思っています。
しかし実際は骨格矯正と謳っていても効果はストレッチによるものなので疲労が溜まれば再発します。再発しない人は運良く疲労が溜まっていないだけです。
誤解を招く恐れがあると考える施術者が増えてきたせいか、徐々に骨格矯正という言葉を使う施術所は減ってきていますが、テレビで紹介する健康法や健康グッズの広告では未だによく見かけます。誇大広告にはくれぐれもお気を付けください。