体の歪みを取ると姿勢が直る、、、訳ではないという話
誇大広告に騙されないように
よく治療院等で見かける「ひどい猫背がこんなに良い姿勢になりました」みたいなビフォーアフターの写真。
あれは半分本当で半分嘘です。
整体は「骨の並びを治して半永久的に良い姿勢にする」というよりも「姿勢が悪いせいで筋肉が硬くなり、その筋肉に引っ張られて生じた骨の並びの歪みを治す」ものです。
筋肉を柔らかくして歪みが改善すると楽に良い姿勢を取れるようになります。でも気を付けていないとき姿勢は崩れます。夢中でパソコンを使っていたりすれば姿勢は悪くなります。
最終的に姿勢の良し悪しは本人の心掛けで、良い姿勢を楽に取れるようにするのが歪み改善の施術なのです。
そもそもそんなに良い姿勢って必要?
正直、過剰に良い姿勢にこだわるのは窮屈だしストレスが溜まるのでやめた方が良いと思います。
人は生活する上でその作業に応じて色々な姿勢になるので常に良い姿勢ではいられません。そしてどんなに姿勢を良くしても普通に生活していればどこかにコリや痛みは出ます。
仕事をせずに適度な有酸素運動と筋トレ。常に良い姿勢を保ち、且つ同じ姿勢を続けないよう立ったり座ったり寝たり常に体勢を変える。こんな生活が出来たならコリや痛みは出ないかもしれません。
でも絶対に不可能ですよね。
自分で出来る、疲れにくい・コリが出にくい生活
良い姿勢を心掛ければ痛みやコリは出にくくなります。
しかし完全に出なくなる訳ではない事は理解し疲れが溜まったら治療を受ける、歪みがあれば治す。その後の生活はあまり神経質にならず姿勢を緩ーく気遣いながら暮らす。
このくらいの心掛けが丁度良いと思います。
なるべく体の歪みやコリが出にくいよう普段心掛けること。具体的にはこんな感じです。
①とにかく同じ姿勢で長くいることを避ける。
デスクワークをしているなら定期的に立って伸びをしたり歩いたり寝たりする。
②悪い姿勢になってるなと気が付いたとき、良い姿勢にしてみる。
両方の足に均等に体重をかけて立ち、腰を反らせずに腰より上の背筋を伸ばす。
腰掛けている時は足を組まない。
③適度な運動。
それでも疲れが溜まってきたなと思ったら、ひどくならないうちに治療へ出かけてください。
姿勢、歪みについての誤解
余談ですが、体の傾き等について誤解されている方が多いので少し説明させていただきます。
人間の体は左右対称ではありません。
肩の高さの左右差をとても気にする人がいるのですが、見た目の肩の高さはあまり意味がありません。
肩に関連する骨の角度や幅や長さは誰でも左右差があるので、左の絵のようにほとんどの人は背骨をまっすぐにしても左右の肩の高さが違います。
絵が下手ですみません(笑)
右の絵のように見た目の肩の高さを揃えると背骨は曲がります。
また、どんな人でも足の長さは左右で違います。
ですからまっすぐ立つには背骨を曲げる必要があります。
極端に書くとこんな感じで、左の絵のように足の長さの違いを補うために無意識に体を曲げてまっすぐ立っています。
本当に絵が下手ですみません(笑)
右の絵は足の長さが違うのに背骨を曲げずに立っている図です。背骨を曲げないので体が斜めになってしまい立てません。
このように、立っている姿は必ずしも体の歪みを反映している訳ではないということです。
我々治療家も立ち姿や座っている姿勢を見ても骨が歪んでいるか確定はできません。まっすぐ立つ為に体を歪ませているだけで、寝た状態では正常に戻っている場合もあるからです。
その場合、体が歪んでいるのではなく必要に応じて体を歪ませているだけなので正常な状態です。
では立っている姿勢で体の傾きを見ても意味はないの?と思われるかもしれませんがそうではありません。
立位での視診は姿勢や体の使い方のクセを見るのと、こういう姿勢だからこういう歪みがあるかもしれないという予測を立てる為に重要です。
また、治療前と治療後で立っている姿勢がどう変化したかを比べるのは治療効果を判断する際ある程度有効ですが、必ずしも立位での見た目の傾きがあるからといって背骨や骨盤の歪みがあるとは限らないのは先述の通りです。
「見た目の傾き」と「体の中の骨の傾き」がイコールではないこと。立ったり座ったりする時は必要があって体を歪ませているが寝ている時は正常に戻る場合「歪み」ではない。この2つを知っておくと細かい姿勢に神経質にならず楽に過ごせると思います。